山中とし子さんの餃子

昨夜帰宅したのが8時10分頃だった。
留守電のランプ・・再生すると
『山中です。餃子が焼けました。まだお帰りではないようですね。
お疲れ様です。お戻りになりましたらお電話ください。
お届けしたいと思います。』
すぐに連絡させていただいて、パートナーが帰宅の午後8時半近くになって
共にお邪魔した。
受け取るだけで・・と思ったが、部屋で焼き直してくれた。
『お帰りなさい』---------
山中工務店の女将さんとして、若い衆のお母さんとして
膨大な仕事を切盛りしてこられたと思うが、
夜これから食事を作るつもりの我々が、図々しくお邪魔して来たにもかかわらず
『お帰りなさい』---------この言葉は、とても大きな慰めとなった。

餃子を生前の隆太郎さんを囲んでも何度もご馳走になった。
こうしていると、棟梁が共にいるような気持ちに包まれる。


父親を亡くして秩父に来た私にとって 棟梁は父親のような存在だった。
山中隆太郎さん亡き後も、こうして暖かく迎えてくださる、山中とし子さんは
私の秩父での母親と言えるような存在となっている。
棟梁の目となって、今も私の個展に足を運んでくださるのは
とても嬉しいと共に、身の引き締まる充実した思いだ。


しっかりとパリッと香ばしく焼きあがった餃子・・・
中はジューシーで柔らかく熱い。
私も、しっかりと堅く 足が地に着いた生き方をして
内には常に、熱く動めくもののエネルギーを持っていたい。
その肉汁のような放出が、私の絵画であってほしいものだ。