海は誰のもの 天引き地引 #今週の香本博

【天引き地引】
dragnet from heaven
紙に多種水彩



多くの人が地引網を引いているが、その網は天(巨大な入道雲)に繋がっている。
筋骨隆々男のような積乱雲は、人間どもには簡単には引かせないぞとでも言っているかのようだ。
豊かな海は天から(自然界からの)恵みだ。
私たちの命を繋ぐ多種多様な魚が、元気に泳いでいるからこそ地引網も成り立つのだ。
そのことに感謝していた昔、食べるに必要な量だけ漁る(すなどる)やり方だった。

近年奪い合いの乱獲、ゴミ放出でマイクロプラスチックを魚が食べる状況に加え、
今年はフクシマで原発汚染水(トリチウム含む処理水)の放水も行う。
恵みをもたらした天は、悪さばかりする人間に、
やがては地引(恵みの配分)を許さなくなる?
食べた魚は、命を健康をもたらさなくなる可能性も、近い将来の現実だ。

沖縄で実際に見た海と雲の印象から、2007年に一度絵にしたが、
これは現代の状況を元に新たな作品として仕上げた。
食事の際に「いただきます」と言うが、
その頂(いただき)とは天・・神の領域のことを指す。
天からの恵に感謝しますということ。
地引は天引き・・謙遜になり、きれいで豊かな海を守りたいものだ。
そういう想いで描いた。