いちまいの絵 2022年11月【くす玉ザクロ】

ザクロの実が割れて、輝く多くの粒が見える時期。
なぜか自分は最初から、運動会のくす玉が割れる印象があった。
 鮮烈な、元気の良い、はじける印象。
コロナ禍となって三年近く、
かつての子供たちの熱狂・歓声も、めっきり少なくなった。
終わらない戦争、物価高騰など不安要素は増すばかりだ。
それでも子供達には「はじけて」ほしい。
「精いっぱい走ってほしい」。
「思いっきり声を上げてほしい」のだ。
実の先端が王冠を思わせることや粒が多いことから、
ザクロは多産や豊作をイメージする果実として珍重されてきた。
実際の栄養素も豊富だ。
運動会というと、万国旗が飾られ、リレーや100m走などの競技が必須だが、
ゴールのテープを切るのは、特定の国の子供ではない。
この絵でもウクライナミャンマーの国旗を、
どこかに入れようかとも思ったのだが、
説明的になりすぎるので止めた。
結果的に、黄色と青が多い画面にはなった気がする。
実は13年前に一度カタチにした作品だが、
どうもなにかしっくりとこなかったので、
額装して個展会場で飾ったことはなかった。
先月ある方から「庭のザクロ・・絵のモチーフになるかと思って」と渡され、
ようやく、自分のオモイが入った作品として完成することができたのだ。
子供たちの躍動感、前に進む、はじける・・、
自分がザクロから得た生の印象を優先して仕上げた。
心から感謝している。
【くす玉ザクロ】
The pomegranate bursts with energy,
like the Kusudama ball at a sports day.