【里の桜】いちまいの絵2020年3月

『里の桜』
紙に交響(多種)水彩
四つ切りサイズ

f:id:artkomoto:20200301162623j:plain

卒業証書を持っている女子高生が佇んでいる。
ここは全国で有数の桜の名所だった福島の帰宅困難区域。
3・11から今年で9年経つのに、いまだ解放されず、
防護服を着た作業員によって閉じられた場所。

震災だけではない原発人災によって、奪われた人生。
本来なら、無事に学校に通い、楽しい記憶とともに卒業し、
家族のもとに帰って祝福されるはず・・。

再稼働や汚染水垂れ流しとかではない【本当の復興】を
切望する思いで描いた作品だ。

当初、花見の提灯の印象や、彼女が子供の時に両親に
「高い高い」されている影絵的なものを散りばめて、
桜吹雪的な画面にしようかとも思ったが、
説明的すぎると感じて描き込まなかった。
彼女の髪が白いのも、説明を止めた理由からだ。
福島県の女子高生の制服はたくさんあって、この絵では、
画面構成として色や形態を判断した。

さくらの季節が和む・・そういう本来の里に戻ってほしいと、
私は願わずにいられない。