黒く塗れ

私は若い頃、モネが失明状態に陥って苦しんだのが
分かる気がした。
地球上には、おそらく完全な黒という色の存在は無い。
真っ暗闇でも何かの色が共にある
目を閉じても、真っ黒ではない。

炎天下の野外で夢中に画布に向かって筆を置く・・
パレットの絵の具を調合する
目に絵の具の残像が残っている 
画布に描く
モチーフを見る
この3つの色を見て追求する繰り返しで
気が狂いそうな気がするときがあった。

長い間、黒はほとんど使わなかった。
存在しないのだから 自分にうそをついて
描くことになると思っていた。
今は、自分が見えたものは
自分が感動したものであり
それを描くのが 絵だ と信じている。
そういえば、黒く塗れ(Paint It, Black) は、
1966年のローリング・ストーンズの同名曲だ。

シタールのような音色で始まる、比較的静かなものだ。
http://www.youtube.com/watch?v=waGTzO3qM_E
キャンバスに絵の具をたたきつけるようなものは
私にとって絵ではない。
12月の、さまざまな黒展2で
今の自分を表現しようと思う。
我が家に下る、外灯にかすかに照らされた坂道を
歩きながら、そんなことを考えた。