寒桜と名


人知れず
脇道に
ひっそりと咲く
寒桜。

多くの人が集わず
多くの人の目に留まることも無い
つまり、この社会で 無名な存在ではあるけれど

この寒桜を見た人は
この清々(すがすが)しき
この花だけが放つ強烈な印象を
決して忘れることは無いだろう。

多くの人が注目する巨大ビル
その中にひっそりと
居を構える建物の中に

意外な場所の
意外な画廊がある。
そうした処に

ひたむきに美を発信し続ける
存在もあるだろう。

有名無名

多くの人が まず追い求めることだけれど
だからこそ
多くの人が 公道だけを追い求め
己の内ではなく、外の目のしがみついて
いつしか美を見失う。

私は いくつになっても
志が濁らない
ひっそりと咲く
そんな寒桜でありたい。