『花巻 空粒子の母』いちまいの絵11月

『花巻 空粒子の母』
紙に交響(多種)水彩 

最愛の母が先月26日に亡くなった。
私はその日、花巻のギャラリーを休憩で出て
往復一時間半を歩きながら空を見て
風を受けていた。

鮮やかな雲と青空の移り行く中、
辺りを覆う大きなあばた雲がちぎれたような
不思議な空を見た。
顔の表面が散りばめられたような・・
病院でやつれた母の肌の連想があったが
次々に雲と空は散り散りに分解していった。

風が吹いて、紅葉しかけた幾多の葉が舞いあがった。

母は花巻の個展が実現したことを
とても意義深いことと喜んでいた。
花巻の個展が終わったら、またすぐ見舞いに行かなくちゃ
そう思いながら大沢温泉に浸かり、重い布団をかぶり眠った。

11時を過ぎて、兄から電話が二度あった・・
【お袋 危ないらしいよ、今呼ばれた 行くから】
【お袋逝っちゃったよ、逝っちゃった。】

【ええー、そんなあ】
現実を受け入れられないまま夜を明かし、
翌朝早い便で 母に会いに帰った。

今思えば 東京と花巻の空は繋がっていて
母は・・私に会いに・・
あり得ないことだろうが、私はそう思いたい。

お母さん・・
今まで育ててくれて
命を私に注いでくれて
本当にありがとう。

父も母もいなくなり、もう泣き虫鼻たれでは
いられなくなったが
青臭い精神と感性は失わないようにしよう。
私はそれが絵の生命線だと思うから。



[昨日の断片]171101