引っ掻き空 (いちまいの絵 10月)


引っ掻き空
本家ホームページの今月の絵が更新されています。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~artkomoto/1mai/1mai.html
音楽は瞬間の芸術と呼ばれている・・
そんな言葉を先日聞いた。
確かに生を受けるのは、その時のライヴしかなく
表現や本当の作家の生は、そこでしか得られない。
CDは、けっして体感とはならない。

それに対して絵は、永続する芸術だと言う。
作品を良い状態で保つならば、生は常にそこにあり
購入するか、展示の際に鑑賞することが出来る。
当然ながら画集も、参考となる印刷物にしかすぎない。

しかし瞬間の芸術の最なるものは、空だろう。
特に秋のこの時期の空は、スコーンと上に冷たい空気があり
刻々と瞬きながら・・雲というパステル、青空というコンテで
空という画布に引っ掻かれているようだ。

空を見て感動する私は、紙という媒体に描かずにはいられなくなる。
引っ掻いた空を、私は必っ描き傷として留めようとする。
自分が一枚にするのは、瞬間の芸術という膨大なページの
きっと混合、残像、そして自分の人生との何らかの融合なのだろう。

『引っ掻き空』
ワトソン紙に交響水彩
(300mmX400mm)