星野富弘さんの甲子園

向日葵は多くの作家が描いている。
有名なのはゴッホだが、
星野富弘さんの描いた作品は、彼ならではの
優れた感性にうなってしまった。
群馬の富弘美術館に行った時、直筆の文字は
誰にも書けない叫びを含んだバイブレーションだった。

『ラジオから流れているはずの
 甲子園の歓声
 私には ひまわりの中から聞こえる』

東京都小平市に住んでいた頃
障害者美術展なるものが、毎年近所で開催されていた。
各作品のブースには、作者が どんな障害があるか
こんな風に制作したと、写真付きで解説されていた。
私は会場の中で、あえて解説を見ないように
作品のみを観るようにして鑑賞した。
そもそも、障害者・・という展覧会の名称自体
私は差別用語に思えるし、その人の境遇がこんなに
大変なのだから・・と見ることが果たして
一生懸命制作した人の作品を、作品として見ることになるだろうか?
同情や、ランクとして見下げていることにならないだろうか?
説明付きで絵を見る人は、絵を自分の心で感じているのではなく
頭で知識として取り入れようとしているだけなのだと思う。
星野富弘さんの絵それ自体は、私に響かなかったが、
彼の群馬の美術館で直筆の文字を見たとき、本当に衝撃的だった。
そして ずば抜けた感性は星野さんならではの素晴らしいものだ。
画像は購入した画集『鈴の鳴る道』より