シネマスコープ


数年前に秩父の過疎な田舎のバスに 朝方乗ったとき
おばあさんが窓際に座っていた。
後ろは、横長の車窓になっていて
(たぶん上の装置が、行き先を表示するものなのだろう)
窓から見えた光景は、稲が伸びた田んぼのあぜ道を歩く
集団登校の子供たちだった。
彼女は、生活上の疲れか、老いて行く身体の疲労か、眠っていたのだが
おばあさんにも、きっとこうした道を歩いた
元気で輝いていた時代もあっただろう。
私には、おばあさんの後ろに映し出される車窓が
彼女の懸命に生きたシーンを上映するシネマスコープに見えて
美しいと思った。
この習作は、もう少し違った形で、作品になると思う。
説明的にならない、本来自分が どう『見えて』『感動した』かを
画布に吐露したいのだが・・。
昨夜は、珍しく10時半頃眠った。