私の傍で眠るトンボ

私が秩父の大田で 出稼ぎ作業をしていたら
二回も 私の傍に トンボが留まって
しばらくして息絶えた。
気絶したように仰向けになって動かない蝉を助けて飛ばしたり
いろんな虫を 踏まれないように場所を移したり
よくしてはいるが、
虫の報いを求めているわけではない。
自分の心を守るためだ。
最後のときを自覚?したトンボが選んだ死に場所は
この汚い格好の髭面の親父の傍らなのか?
すぐどうにかなってしまうかもしれないが、
眠りについたトンボを
土の上でも アスファルトにでもなく
樹の枝に留めてやった。
トンボよ 
もっと人と場所を選んでも良かったのじゃあないか?


作品は『一日のフィナーレ』
個人所蔵