きれいに飲んで帰る人

秩父の大田で夕刻
一日数本しか無いバスを待つ間
バス停前の居酒屋 なの花さんに時折寄って 喉を潤す。
昨日は朝から蒸し暑く、2リッター近くの水分補給と発汗の勝負
この店は、私の個展の紹介にと 
DMやポスターを飾り付けてくださっている。
でも、それと私と結びつかない人は多いかもしれない。
カウンターで同席した常連の小鹿野介護施設を経営する方が、
たまに見る”しゃがれ声”のお客さんと来ていた。
『今帰りかい?どうだい、最近は?』との答えに
山梨の個展のDMを 二人にお渡しした。
『ほう』と丁寧に見てくださって、
『御見それしました。いやあ、こういう方だったんですねえ。
いやね、時々顔を合わすことはあったんですが、
きれ----いに飲んで、すっと帰る人だなあってね 思ってたんです。
酔っ払いもせずにね。美味しそうに くっと飲んでツマミを食べて
すっと帰る・・へえ---と思ってました。それがねえ----。
こんな素晴らしい絵を描く人だったとはねえ。この絵、良いですよ。』
と しゃがれた調子で話してくれた。
ありがとうございます。

この方では無いが、数年前にカウンターで”きれいに飲んでいる人に 私から
『描かせてもらえませんか』と言ったことがある。
今日、私も70歳なんですよ。昔は若かったんだがなあ。
若いときは中野の方に、長屋ですよ・・”うちのを”食べさせるのに
朝から一生懸命働きましたよ。若かったんだなあ。
そんな”いきな話を”語っていた人を描きたくなってスケッチし
作品にして後日お渡しした。
とても喜んでくださって感謝している。
長屋住まいに夕陽がさす頃、汗をかいて帰る
出迎える”うちの”最愛さん
そうしたイメージを作品に託した。
『この人の70のお祝いに』
交響水彩 個人所蔵