2017年3月いちまいの絵【星屑開幕す】

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『星空開幕す』
キャンバスに油彩
80.3×60.6cm 個人所蔵

秩父大田でバスを待つ。街灯も無く暮れて
夕刻帰宅の喧騒は止み静寂が訪れる。
グランドにベンチが置かれて、彼方に蛍の光ほど小さく
クルマのライトが滑っていくのが見える。
指定席に招待されたかのように、ここに座ると
『星空』というステージが開幕する。
なんと美しいのだろう。目を細めたような月には光輪が出来
控室では兎が餅をつく準備でもしているのかな?
電子音や低高音強調されたスマホステレオサウンドも失せて
なんと贅沢な静寂だろうか。
饒舌な星屑と大気の揺らぎに酔いしれる・・
おっとバスが来た。これに乗り遅れると徒歩で3時間はかかるぞ(汗)

秩父に移り住んだ当時、毎日のようにここに立って
感じて(見て)いたことの一つの集積が、この絵だと思う。
スケッチはしたが、暗く横殴りのようなメモばかりだ。
日々【描く】ということは、画布に向かって筆を動かすという
文字通りのことだけではなく、体感チャージする、感動や印象を
五感で焼き付けるということが最重要なのかもしれない。
結局この絵も、帰宅してから下書きもせず、いっきに描きあげた。
だから『完成までどのくらいかかるんですか?』というご質問は
答えにくい(苦笑)
自分の内奥の蓄積にかかる時間が推し量れないからだ。

私の絵の感想で、こう言われることが多い。
ムンクみたいですね・・
きっと心象を描いた絵という印象なのかも。
奇抜な色使いをしているからという意見もあった。
でも私は見えた(心に見えた)色しか描いたことは無い。
ムンクは 叫びを描いたとき(実際は4枚描いたのだが)
フィヨルドの夕日とそこに映る海が血のように見えて
たくさんの声が聞こえてきた・・そして耳をふさいだ。
彼は 見えたものを描いた。
画面構成優先なんて そんな生きていない絵と色は!!

[昨日の断片]170302