11月の いちまいの絵 キネマスコープ

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『車窓のキネマ』
アルシュ紙に交響水彩
大衣サイズ

今年も、岡山県津山市に帰郷した。
息子のひいき目に、いつまでも若く見える母も
81歳になったが、叔母の三回忌に共に帰ったのだ。

母が見ていた車窓から、小学生が歩いているのが見えた。
なにか遠くを見つめるかのような母を
私は、映画の1シーンのように見つめていた。

母は農家の生まれで、苦労したそうだが
母の幼い時代には、モンペを穿いていただろうか?
今のような、おしゃれなランドセルなんて
ありえなかっただろう。

母は、車窓を見て、心の中で
遠く過ぎた自分をダブらせて、見つめているようだった。
まるで、自分が主役を演じてきた
名シーンのフィルムを再び廻しているかのように。

私は、そんな母と車窓のこのシーンこそが
私の人生にとっての
名場面に思えたのだった。

2011年制作 個人所蔵
http://park18.wakwak.com/~artkomoto/kmt/1mai/1mai.html