『兎が見る羊月』いちまいの絵11月が更新されました。

本家の11月の いちまいの絵です。


これを最初に描き始めたのは、たしか去年のことだ。
夜の羊山に登って、明るい月を見ていた・・
その印象は、夜気のたくさんの粒子のような空。
月の光輪を形作るかのように、粒子がきらめき色が変わる。
そのときには、普段と違って月の中に兎が見えなかった。

311以来、地と天ということを より感じるようになった。
地に起きた災い・・宇宙から見ると青く美しい地球なのに。

地に住む人間が、天を見て 澄んだ大気で『兎が見える』と言う。
でも、そういう人間を、天は どう見ているのだろうか。

また、地にも人間だけが住んでいるわけじゃあない。
当の兎が月を見たら、どのように映るのだろうか。
きっと同胞には見えず、彼らの瞳孔と水晶体からは
この山に住む羊のように、大きく見えているのかもしれない・・
人間は唯一正しいなどというのは、驕(おご)りだろう。

兎の見えない月夜に、パラソルチョコのように立っている樹
なにか通信のアンテナのようだ。

願わくば、地に住むものが地を滅ぼさない限り
美しいと感じてがんばって生きていくことが
天にも伝わって、どこかで繋がっていますように・・・
そんな願いも今年入って終えた不思議な絵だ。


『兎が見る羊月』

紙に水彩とパステルなど 四つ切サイズ