育まれた稲

連日の蒸し暑さ
体温を越える作業場で
熱中症と戦いながら
もがいて
描いている自分

今度は
自分の中にある
雑素材と疲労による感性の歪みと戦って
ピュアなイメージとパッションで
画布に向かう

でも、このところ
体を休めてしまっているなあ。
昨日も少し庭仕事をしただけで
汗だくになって眠ってしまった。

いつの間にか
下を向いている自分
下を向くと
自分の大切な心は
自分の内奥以外の外に向けられて
作家の感動する感性から遠ざかる。

集団登校の子供たち
行くのがいやな日もあるだろう
延々とあぜ道を歩いていき
私に挨拶する。

挨拶は たたく という語

トントン
お前の心は起きてますか?
トントン
あなたの五感は
疲労で埋もれていませんか?

蒸し暑さや身体の痛みで落ち込んでいたら
奄美で一人で格闘していた
田中一村はどうなるのだ。

トントン
もっと強く叩こうか

作品は『育まれた稲』
個人所蔵