いちまいの絵2022年12月「朝が通過する踏切 お花畑駅」



冬の冷え込んだ朝は空気が澄んでいて、
横から強烈な朝日が眩しく差し込む。
本数の少ない秩父鉄道の踏切のある道に、
その光が徐々に動いていく様は、
まるで「朝」という列車が通過していくように感じて嬉しくなった。
かなたには鳥が三角「この先へ」の編隊群れを作って飛び放ち、
チリリンとベルを鳴らして学生たちが踏切を渡る。

冬は起きるのも動くのも しんどいが、
こうした光景は、まさに冬でしか見られない美しさであり、
心が温まる。青系の強い朝日に街は染められる。
自然界はこうして、凡庸な日々しんどい日常にも、
がんばりましょうとエールを送ってくれている。
私の中の踏切にも、さわやかな朝が通過して心を揺さぶってくれた。

この題名とモチーフで、いくつも作品を作ってきた。
これは「お花畑駅」だ。
ラッシュが起きるような駅の踏切には、
こうした美しい朝は似合わない。

 

【朝が通過する踏切 お花畑駅
At the railroad crossing where the morning passes at Ohanabatake Station.
ワトソン紙に交響(多種)水彩。八つ切りサイズ。個人所蔵

#hiroshikomoto