冬の冷え込んだ朝は空気が澄んでいて、
横から強烈な朝日が眩しく差し込む。
本数の少ない秩父鉄道の踏切のある道に、
その光が徐々に動いていく様は、
まるで「朝」という列車が通過していくように感じて嬉しくなった。
かなたには鳥が三角「この先へ」の編隊群れを作って飛び放ち、
チリリンとベルを鳴らして学生たちが踏切を渡る。
冬は起きるのも動くのも しんどいが、
こうした光景は、まさに冬でしか見られない美しさであり、
心が温まる。青系の強い朝日に街は染められる。
自然界はこうして、凡庸な日々しんどい日常にも、
がんばりましょうとエールを送ってくれている。
私の中の踏切にも、さわやかな朝が通過して心を揺さぶってくれた。
この題名とモチーフで、いくつも作品を作ってきた。
これは「お花畑駅」だ。
ラッシュが起きるような駅の踏切には、
こうした美しい朝は似合わない。
【朝が通過する踏切 お花畑駅】
At the railroad crossing where the morning passes at Ohanabatake Station.
ワトソン紙に交響(多種)水彩。八つ切りサイズ。個人所蔵
#hiroshikomoto